外壁塗装の浮き・剥がれの原因と補修費用

外壁塗装の浮き・剥がれが起きている建物は美観が損なわれるだけでなく、塗料の耐久性が低下したり、外壁材の劣化を早めてしまうため、早めに適切なメンテナンスを行う必要があります。
塗装の浮き・剥がれの原因は、経年劣化もしくは施工不良です。このページでは、塗装の浮き・剥がれを放っておく危険性や詳しい発生原因を解説いたします。
また、補修費用についてもご説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
外壁塗装の浮き・剥がれについて

外壁塗装の浮き・剥がれとは、塗膜が水ぶくれのように膨れ上がっていたり、塗膜が破れて外壁から剥がれてしまっている状態のことを指します。
塗装を行う目的は建材を塗膜で覆って紫外線や雨風などから守ることですが、浮きや剥がれが起きていると塗膜で建物を保護することができなくなり、それにより紫外線や雨風などが直接建材に当たって、建物自体の劣化を早めてしまうことに繋がります。
さらに、建物の劣化が進行すると雨漏りや建材の腐食、金属部分のサビ、シロアリやカビの発生、建物の耐震性低下など様々な被害を及ぼす危険性があります。そのため、塗装の浮きや剥がれを見つけた時は、早めにメンテナンスを行うことが大切です。
経年劣化による浮き・剥がれの原因
塗膜は日頃から紫外線や雨風の影響を受けているため、約10年程で経年劣化による浮き・剥がれがみられるようになります。
塗料にも寿命があり、経年劣化による浮き・剥がれは防ぐことができないので、この場合は塗り替えによるメンテナンスを行う必要があります。
施工不良による浮き・剥がれの原因
塗装後2~3年程で浮き・剥がれが発生した場合は、施工不良の可能性が高いです。施工不良の例として、次のようなパターンが挙げられます。
高圧洗浄が不十分だった
塗装を行う前は高圧洗浄を行い、塗装面の汚れや古い塗膜などを洗い流していきます。その際に、洗浄が不十分で汚れなどが残っていると、塗装をしても塗料がしっかりと密着せずに塗装の浮き・剥がれが発生します。
また、高圧洗浄後の乾燥時間に関しても重要なポイントで、しっかりと乾燥させないと外壁の中に水分が残ってしまい、その水分が蒸発することで塗膜が膨れ上がってしまいます。
下地処理が不十分だった
下地処理とは、下地の表面を塗装ができる状態に整えることです。
紙やすりや電動工具を使って高圧洗浄で落としきれなかった汚れ、古い塗膜、サビなどを除去する「ケレン」と呼ばれる作業や、ツルツルした面にあえて細かい傷をつけて塗料の密着力を高める「目粗し」という作業などを行います。
高圧洗浄時と同じく、この時に汚れなどがきちんと除去できていなかったり、目粗しが不十分のまま塗装をしてしまうと塗料の浮き・剥がれに繋がります。
また、その他にも下地のひび割れを補修する際に補修がしっかりと行われていないと、ひび割れの上に塗装した部分の塗膜に浮きや剥がれが発生します。
下塗りが不十分だった
下塗り塗料には、中塗り・上塗りの密着力を高める効果があります。そのため、下塗りが不十分だと中塗り・上塗りが密着せずに、すぐに塗装の浮きや剥がれを引き起こしてしまいます。
さらに下地の状態が悪い場合、下塗りを塗布しても下地がスポンジのように塗料を吸い込んでしまうため、その吸い込み具合と下塗りとして性能を正しく発揮できるかを見極めながら、下塗り塗料の塗布量を調整する必要があります。
このときに、塗布量にミスがあると下塗り塗料本来の性能が発揮されずに中塗り・上塗りの密着力が低下したり、中塗り・上塗りも下地に吸い込まれてしまい、塗装の浮きや剥がれに発展します。
塗料の乾燥時間を守らなった
塗装をする際は、各塗料メーカーが定めた乾燥時間を守って次の工程に移らなければなりません。
もし乾燥時間を守らずに塗料を重ね塗りすると、高圧洗浄後の乾燥と同様に内部に水分や溶剤が残り、塗装後に水分や溶剤が蒸発して塗装の浮き・剥がれが発生してしまいます。
塗料の取り扱いに不備があった
次のような塗料の扱いに不備がある場合も、塗装の浮き・剥がれの原因となります。
・塗料を必要以上に薄めすぎた
・塗料の塗布量を守らずに薄く、また厚くは塗りすぎた
・下地と下塗り塗料の相性が悪かった
・下塗り塗料と中塗り・上塗り塗料の相性が悪かった
塗料によって希釈率や塗布量、適用下地などは異なるため、塗料メーカーの規定をしっかりと守って塗料の選択、取り扱いをしなければなりません。
浮き・剥がれの補修方法と費用
外壁塗装の浮き・剥がれは、塗り替えを行って補修します。
塗り替えの際は、まず古い塗膜をヘラや研磨紙を使ってすべて除去し、その後は通常の塗装と同じように下塗り・中塗り・上塗り塗料を塗っていきます。
古い塗膜が残った状態で塗装をすると、新たに塗装した塗料もすぐに剥がれてしまうので注意が必要です。また当たり前のことですが、塗料の扱いや乾燥時間などもしっかりと守ることが重要となります。
費用は施工範囲や使用する塗料などによって異なりますが、部分的な補修で済む場合は数万円~、浮き・剥がれの範囲が広く外壁の全面塗装が必要な場合は、一般的な戸建て住宅で60万円~100万円程が相場です。
まとめ
塗装の浮き・剥がれが発生するのは、経年劣化もしくは施工不良が原因です。
経年劣化の場合は塗装後10年程で症状が現れるようになります。もし塗装してから2~3年程度で浮き・剥がれを見つけた場合は、施工不良が原因と思われるため、まずは施工した業者に状況を確認してもらうようにしましょう。
塗装の浮き・剥がれは見た目が悪くなる他に、建材の腐食や雨漏りの発生などにも繋がるので放っておくのは危険です。事態が悪化すると、塗装だけでは直させないほど建物に大きな影響を及ぼしてしまい、メンテナンス費用も高額になっていきます。
そのため、塗装の浮きや剥がれが起きている場合は必ず専門業者に相談し、劣化が広範囲に広がってしまう前に早めに補修しておくことが大切です。